南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)がシンナから受け取った動画によると、2014年8月15日午前10時頃(北京時間)、南(内)モンゴルの著名な政治犯ハダの妻シンナと息子ウイレスは、海外のインターネット・サイトに「違法なコンテンツ」を発表したかどで、中国インターネット警察に嫌がらせを受けた。
少なくとも8人の警官が「中国インターネット・セキュリティ警察」だと名乗り、2つのグループに分かれてシンナらの自宅のドアを壊し、「警告」した。ただし、シンナに対する告発を裏付ける証拠は何も示さなかった。
「これが今朝10時頃起こったことです」と、シンナはSMHRICにスカイプのメッセージで伝えてきた。「この警官らのビデオを撮る前に、警官数名が私たちに嫌がらせをして、車に戻って行きました」。
012986番のバッジを付けた警官のリーダーは、シンナが違法なコンテンツを公表したと告発して「完全に捜査する」と脅した。
ドアを開けないで、ウイレスが警察手帳を見せるよう警官に伝えた。
「何警察ですか」とウイレスが尋ねた。
「インターネット・セキュリティ警察だ」と警官のリーダーは答えた。
「中国から来た警官ですか」とウイレスは尋ねた。
「そうだ」と警官のリーダーは答えた。
「それならどうして海外のウェブサイトを取り締まるのですか」とウイレスが尋ねた。
警官のリーダーは、海外のサイトに公表した「違法コンテンツ」のいかなる証拠も示すことはできず、公表が「関係法令」に違反していると責めた。
シンナが2日前、フェイスブックにアップしたコメントによると、2014年8月12日、シンナの2つの携帯に「呼死你」(死への電話)という件名のメッセージが422通も届いたという。
「今も2つの携帯でメッセージの受信を続けています」とシンナはSMHRICに語った。「私には携帯を切るか、マナーモードにするしか方法がないのです」。
先週はじめ、シンナは南モンゴルの首府フフホトで著名な弁護士莫少平に会い、中国当局を相手にハダが15年の刑期を終えた後も不法に収監されていることで訴訟を起こす際の弁護を依頼できるかどうかについて話し合った。
1995年12月10日、ハダは南モンゴル民主連盟(SMDA)設立のかどで中国当局によって自宅で逮捕された。SMDAの数十名のメンバーも逮捕されたり拘束されたりした。ハダは後に懲役15年の判決を受け、オラーンハダ(赤峰)市の内モンゴル第四刑務所で刑期を終えた。15年の間ハダは罪を認める要求を拒否した。いかなる法的な正当性もなくハダは中国当局によってフフホト郊外の秘密刑務所に収監され続けている。
ハダが釈放される一週間前の2010年12月3~5日、内モンゴル警察局がハダの妻と息子を逮捕した。警察局は、シンナの「モンゴル学書店」を閉鎖し、多くの書籍と土産物を押収した。その時、捜査・押収令状が提示されなかった。押収された資料はいまだ返却されていない。シンナとウイレスはフフホト第一および第三勾留センターに別々に拘束された。
「麻薬の不法所持」で、ウイレスは「自宅監視」に置かれる前に約1年間拘束された。シンナは16か月拘束された後、「不法ビジネス」というでっち上げの罪により懲役3年執行猶予5年の判決を受けた。
「私は当局が何か証拠を提示するかと思っていましたが、今回も何も示さなかった」と、シンナはフェイスブックに書き込んだ。「今後も良いことは何も起こらないと思う。恐らくネットを止められるか逮捕されるか。でももう気にならない。私にとって日々の生活は刑務所にいるのと変わらないから」
(原文)http://smhric.org/news_537.htm