南(内)モンゴル中央部フブートシャル・ホショー(鑲黄旗)の約400人のモンゴル人牧民が2014年10月8日、政府と企業の独占と競合する伝統的な生業の保護を訴える垂れ幕を掲げて旗の中心部でデモを行った。「旗」は西部の「県」と同様の行政単位である。
南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)が入手した資料には、牧民たちは自分たちの牧草地が非合法に収奪されていること、鉱山開発に関して、また自然災害対策に政府が消極的であること、さらに補償金の支払いが滞っていることなどが言及されている。
牧民は「フブートシャル旗牧民の政府への要求」というタイトルの付いた声明文の中で「南モンゴルに進出している家畜屠殺場や食肉加工会社は利潤追求のために独占しており、関係法令に違反しているだけでなく、牧畜生産の慣例を全く尊重しない」と述べている。牧民はまた、牧畜コミュニティでの企業独占を終わらせ、牧民の経済的幸福を犠牲にして企業の独占を支援している腐敗役人を罰するよう要求している。
「数年前、旗政府は旗のGDPが2億元に達したと発表した」と声明文は続けている。「この数字は、私たちの牧草地から出た石油や天然ガス、その他の資源を開発したことで達成されたのである。その一方で、政府は私たち牧民コミュニティに起こった自然災害への対応に失敗しただけでなく、私たちが受け取るべき補助金や補償金の支給を拒否している」
抗議活動が広がるのを恐れ、旗政府は牧民代表と旗長・党書記の対話を迅速に調整した。
2つめの声明文には旗政府の約束として牧民が述べている。
(1),干し草の補助金として1500元(=約350米ドル)がキャッシュカードの形で各戸に支払われる。
(2),災害救済基金として、2014年6月30日時点の家畜数に応じて一頭につき5元(=約0.9米ドル)をキャッシュカードの形で各戸に支払われる。
(3),環境被害に対して未払いの補償金の20%が5日以内にキャッシュカードの形で各戸に支払われる。
声明文は「政府は未解決の問題に対して5日以内に対処する」とも述べている。
中国が南モンゴルで経済開発を加速するにしたがい、モンゴル人牧民は鉱山や観光産業、自然開発プロジェクトに牧草地の明け渡しを強制されてきた。逃げ道のない牧民たちは、保護されるべき権利とほとんどなされることのない地元当局の明確な対応を要求してデモを行ったのである。
最近の別のケースでは、南モンゴル東部シン・バルガ・バローン・ホショー(新巴爾虎右旗)の牧民が旗政府庁舎前でデモを行っている。牧民たちは、地元当局と鉱山会社による牧草地の収奪に抗議し、土地と鉱物資源、水に対する牧民共同体の権利の保護を要求した。(原文)http://www.smhric.org/news_544.htm