中国当局は4週目に入った抗議行動に対して、牧民たちの要求を無視し続けている。怒った牧民たちは南（内）モンゴルのドゥルウド・ホショー（四子王旗）とスニド・バローン・ホショー（苏尼特右旗）の旗庁所在地でデモを行い、正義の要求に答えるよう当局に対して要求した。

　2015年1月30日朝、ドゥルウド・ホショーの牧民200人以上が旗庁所在地オラーンホワ（烏蘭花鎮）でデモを行い、地元政府職員が牧民代表との面談を拒否したことに抗議した。デモ隊は「私たちの牧草地を返せ！私たちに正義を！」「軍と政府は結託するな！牧民の土地を略奪するな！」というバナーを高く掲げてオラーンホワ鎮のハサル広場とドゥルウド広場を含む主な広場と通りをデモした。

　北京や首府フフホト（呼和浩特市）で最近行われた牧民の穏やかなデモや抗議と異なり、牧民たちは旗政府庁舎前に集まる前に「腐敗公務員を打ち倒せ！」「私たちの土地を返せ！」「牧民に正義を！」というスローガンを叫んだ。

　公安と警官はデモ中には何ら行動を起こさなかったが、2015年1月31日夕方、逮捕が遂行された。オドンホワル女史、ダウシルト氏、ナランホワル女史、アリマー女史を含む少なくとも5人の牧民が警官によって連行された。翌日、アディヤという牧民も逮捕された。牧民たちは「不法デモ」を組織したという容疑である。

オドンホワル女史に出された召喚状では、中国の憲法第35条で「言論・出版・集会・結社・デモの自由」に対する権利を保証しているにもかかわらず、「ダウシルト氏が組織した非合法集会、デモに関わった」と糾弾されている。

南モンゴル人権情報センター（SMHRIC）が入手した最新情報では、オドンホワル女史、ダウシルト氏、ナランホワル女史、アディヤ氏の4人は、「非合法デモ」に参加した容疑でそれぞれ15日間勾留されることになった。彼らの逮捕以来、100人近くの牧民が即時釈放を求めて毎日政府庁舎内に集まっている。

2015年1月31日朝、隣のスニド・バローン旗の200人近くの牧民が政府職員との面談を要求して、旗庁所在地サイハンタラ（賽漢塔拉）鎮でデモを行った。

　大勢の武装警官と警官が牧民たちを弾圧するために投入された。少なくとも5人が逮捕され、多数が暴行された。SMHRICが牧民から入手した動画と写真では、伝統衣装を身に付けたある牧民が警官隊に囲まれて身動きせずに地面に横たわっている。他の写真でも警官が現場から牧民たちを連行しているのがわかる。

牧民たちは「私たちの故郷を返せ」「私たちに補償しろ」「私たちは生きなければならない」というスローガンを叫び、当局がジュルヘ軍事訓練基地の拡張のために強制移住させられて生じた損害に対して賠償するよう要求した。

2つの旗において移住の影響を受けたコミュニティから入手した情報によると、ジュルヘ軍事訓練基地の拡張によって800戸以上、約3000人の牧民が強制的に牧草地を放棄せざるを得なくなり、適切な補償もなければ住居の供給もないのである。

牧民による抗議行動への弾圧として、中国当局はSNSを通じてこの3週間の抗議行動に合流するようモンゴル人を集めた活動家4人を逮捕した。アルマーズ氏はナイマン・ホショー（奈曼旗）で警官に連行されて一週間勾留された。シリンゴル・アイマグ（錫林郭勒盟）のトゥクスメンド氏は牧民の抗議行動を支援するネット活動に関わった容疑で一週間近く勾留された。トンリァオ・ホト（通遼市）の活動家ロブサン氏は牧民が要求と抗議を公表する支援した容疑で地元警察に出頭命令を受けた。フフホトのオヨーンツェツェグ女史は警察の公安部に呼び出され、SNSを通じて牧民の抗議行動をコーディネートしたかどうか尋問を受けた。