以下は南モンゴル東部アルホルチン・ホショー(阿鲁科爾沁旗)、バヤンウンドゥル・ソム(巴彦温都爾蘇木)のごく普通の牧民ボルジギン・ナイラルトの短い演説の翻訳である。ナイラルトは、刑務所から釈放を歓迎するため集まった地元モンゴル牧民を前に短い演説を行った。モンゴル地域社会を守るため25か月にわたって収監された。
ナイラルトは、地元モンゴル人コミュニティの牧地とライフスタイルを維持する権利を守ろうとして25か月間収監され、2017年7月15日釈放された。
今日は普通の日ですが、私たちの闘いの歴史に残る日です。私は中国の法律によって有罪と告発されましたが、モンゴル人の皆さんに誓って罪を犯していません。私たちが起こした闘いは、モンゴル人にとって犯罪行為ではありません。
釈放された時、牧民の皆さんから多くの電話やメッセージを受け取り、バヤンウンドゥル・コミュニティの多くの皆さんが今日ここに集まりたいと思ってくれていましたが、深刻な干ばつや牧地の縮小などの理由でかないませんでした。牧民は家畜を放置することはできません。一時避難的に他のホショーの離れた牧地に移動せざるを得なかったため、家畜が「保護地」に入ってしまった地元コミュニティの牧民を違法とする政策のため、また、地元の牧民の一部に他の生業を強制することで貧困が悪化する一方です。
ここに集まった皆さん一人一人は、牧民が今直面している大きな苦しみを心から理解し、各コミュニティの勇敢な牧民たちを代表していると確信しています。牧民の仲間たちが、25か月の収監の真の意味と私が代表として闘った理由をしっかり理解してくれていることを本当にうれしく思います。私は、ここに集まった全員が私を歓迎しているわけではないと思いますが、私たちの法的権利を擁護し、私たちの未来のための闘いと私たちの子供たちと次世代の幸せを守るという私たちの共通の意志を歓迎して尊重してくれていると思います。
私たちモンゴル人は何が正しくて何が間違っているのかの判断を決して間違いませんでした。それは、私たちモンゴル人とモンゴル地域の崇高な闘いを正しく評価しています。私は釈放されたので一人で家に帰ることができます。ただ、皆さんがここに集まって一緒に歩いてくれる、そのことがモンゴル人の暖かい心と愛情だけでなく、この闘いにおいて「私は一人ではない」という連帯感をもたらしていることにとりわけ意味があります。
したがって、25か月間の刑務所暮らしは決して無駄ではなかったと信じています。25か月間の収監によって、私たちモンゴル人が目覚め、自らの権利と未来のために立ち上がり、さらに、正義のための闘いの精神と幸せな生活を守る権利意識がモンゴル人の心に浸透したのではないでしょうか。私が最も懸念していることは、モンゴル人が絶望と精神的な後進性で目覚めることができず、活気がなくなってしまうことです。
しかしながら、今日私はこれまで以上に確信を得ました。若いモンゴル人からの歓迎の電話、メッセージ、SNSのことば、年長者の皆さんからの心からの支持によって、闘いを続けられる確信を感じました。私は本当に幸せです。素晴らしい仲間と故郷を誇りに思います。私たちは土地を失い、財産を失うことはあります。しかし、私たちは精神を失ってはなりません。私たちがその精神、希望、知恵を失わない限り、私たちは最も豊かで最も幸せになることができるでしょう。私が言いたかったことは以上です。
http://www.smhric.org/news_619.htm