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補助金不正受給で外務省告発検討

中国植林の『沙漠緑化協会』

　日中友好を象徴する代表的な非政府組織（ＮＧＯ）で、中国でのボランティア植林の草分けとして知られる「日本沙漠緑化実践協会」＝本部・鳥取市、遠山柾雄理事長（６４）＝が、実際にはやっていない植林事業への補助金約二百五十万円を、偽造領収書で外務省から不正に受け取っていたことが二十三日、明らかになった。外務省の聴取に対し、遠山理事長は不正の事実を認めている。同省は補助金の返還を求めるとともに、刑事告発も検討する。また補助金等適正化法に基づき、二十五日に協会事務所を立ち入り検査する。

　外務省の調べでは遠山理事長は昨年四月、中国内モンゴル自治区・アラシャン盟エジナ旗に乾燥や塩分に強い「ザグ」と呼ばれる苗木五十万本を植えたとする総額約六百五十万円の事業の完了報告書を外務省に提出、事業総額の半額を限度に支給される補助金二百五十三万三千円を受給した。

　報告書には「阿拉善左旗烏雲苗圃」という農園名の印が押された苗木代六百四万円分の領収書が添付されていた。しかし外務省が中国の現地関係者に照会したところ、この農園の存在は確認できなかった。

　外務省が二十一日に遠山理事長から事情を聴いたところ、当初は植林事業についてあいまいな説明を続けていたが、最終的に領収書を偽造したこと、同協会からの金銭の支払いがなかったことを認めて陳謝「いかなる措置も受ける用意がある」と述べたという。外務省などには協会関係者から「不正受給が行われている」などの複数の内部告発が寄せられていた。

　協会は一九九一年に遠山正瑛・鳥取大名誉教授（９６）が会長となって創設。二〇〇〇年末からは長男で、鳥取大助教授の柾雄氏が理事長に就任、実質的な代表となった。ボランティア活動で三百万本以上を中国の砂漠に植林し、外務大臣表彰や吉川英治文化賞などを受けたほか、マスコミや学校教科書でも日本の国際貢献の好例として数多く取り上げられている。

　補助金等適正化法　特定の事務、事業を実施する者に対して、国などが交付する補助金について、不正な申請や使用などを防止し、補助金の予算執行や交付の決定の適正化を図るため、１９５５年に施行された。行政機関に立ち入り検査や補助金返還命令の権限を与えている。補助金を不正に交付させる行為や申請した目的以外への使用などが罰則に当たり、法定刑は５年以下の懲役または１００万円以下の罰金。（中日新聞2月24日）

　

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