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内モンゴル、中国企業の不法汚染排出で環境破壊 地元住民の生活脅かす
Sankei Biz
2013年7月17日
フフホト郊外の河川敷に不法投棄されたゴミの山(中国新聞社)
内モンゴル自治区では長年にわたる企業の不法な汚染排出で、草原には悪臭が漂う汚水の湖ができ、地元住民の批判の的となっている。バイオ医薬産業の拠点として知られる托克托(トクト)工業園区でも、大量の汚染物質が排出されて問題になっている。
トクト県は同自治区の中部にあり、もともと土壌が脆弱(ぜいじゃく)で塩害が激しい上に、広大な土地を求めて中国の中・東部から移転した多くの企業が不法な汚染排出を繰り返し、地元住民の生活を脅かしている。
村民も近寄らず
同県伍什家鎮主力汗村で農業を営む男性によると、村の農地には刺激臭が漂い、数年前は夜も眠れないほど悪臭がひどかった。この男性の自宅から数十メートルの場所には黄河から引いた水路があり、以前は農業に適した土地だった。しかし現在は上流から悪臭の漂う汚水が流れ込み、村民も近寄らない場所となっている。
水路の水は農地灌漑(かんがい)に使用されているが、畑の一部にはすでに塩害が表れている。男性の自宅敷地内には井戸があるが、水は緑色に変色し、「とても飲む気にならない」という。
汚染の発生源は、同鎮にある酸化池法を採用した汚水処理施設だ。3カ所ある酸化池のうち、内壁をセメントで処理されていたのは2カ所のみ。残りの1カ所の内壁はただの土で、外部への浸透を防ぐ措置は一切とられていなかった。
酸化池から出る排水口に沿って歩くと、池から西北に7~8キロの地点でも水は赤褐色を呈し、悪臭が漂っていた。さらに北の地点では地表に排水がたまって濃い緑色の池となっており、土壌改良目的で植樹されたヤナギは枯死、周辺土壌は白や黄褐色に変色していた。
関係者によると、酸化池はトクト工業園区に入居する企業が汚水処理に利用する施設で、総容量180万トン。2005~08年に建設されたが、満水となっているため、新たに3~4カ所の建設を予定している。
同県の公開資料によれば、設計では企業側が独自に1級処理を行った汚水を汚水処理場で2級処理し、その後に酸化池に注入して無害化処理を行うことになっていた。
「地方政府の保護」
しかし実際には、同園区内の大手医薬品メーカーが中国政府の「三同時制度」(投資プロジェクトの実施と同時に環境汚染防止施設を計画、建設、操業すること)を順守せず、施設内で処理しきれない汚水を無処理のまま外部に垂れ流していた。
北京公衆環境研究センターの馬軍主任は「不法な汚水排出の背景には、不法企業に対する地方政府の保護がある」として、政府環境保護部門の管理・監督が地方政府によって事実上制限されている問題を指摘した。(中央電視台 経済半小時=中国新聞社)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130717/mcb1307171101019-n1.htm