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牧地を守ろうとしたモンゴル人牧民が再び漢人によって殺害
SMHRIC
2013年8月20日
ニューヨーク
2013年8月19日午後5:30(現地時間)、南モンゴル西部ウーシン旗トグ・ソム、トホータイ・ガチャー、ダランツェツェグ村のモンゴル人牧民バヤルバートル氏(58)が自らの牧地を守ろうとして、漢人の道路建設業者に撲殺された。同氏の息子も重傷を負っている。別の複数の牧民も殴られた。バヤルバートル氏の遺体は葬儀を執り行うためウーシン旗人民医院に安置されている。
南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)が現地から受けた情報によると、中国鉄道局が適切な補償もせずに牧地を占拠したことにバヤンバートル氏ら複数の牧民が抗議した際、鉄道局第23支局の複数の漢人鉄道労働者がバヤルバートル氏を激しく殴り始めた。
写真で見ると、尊大で粗暴な漢人労働者らが牧民らに「抗議を続けるならモンゴル人たちを全員殺すぞ」と脅しただけでなく、殺人を実行するために他の労働者にナイフを持って来させるまで頼んでいたとそうである。地元警察は遅れて現場に到着し、伝えられるところでは殺人犯を逮捕しなかったという。
モンゴル人ネチズンによる「牧地を守ろうとして中国鉄道局第23支局の漢人労働者に撲殺されたバヤンバートル氏に深い悲しみと哀悼の意を表します」という意見広告、メッセージ、写真が、人人网、QQ、腾讯微博、新浪微博などのソーシャル・メディアを通じて広がったが、すぐに削除された。
2010年以来、バヤンバートル氏を含む少なくとも5人のモンゴル人牧民が自分たちの伝統的なライフスタイルを守る権利や牧地に対する権利を守ろうとして漢人労働者の手で命を落としている。
2010年、バーリン・バローン旗ソブログ・ソムのモンゴル人牧民が「禁牧隊」の漢人によって刺殺された。禁牧隊は、モンゴル人牧民が自らの牧地で家畜を放牧することを禁止するために中国政府が設置した機動隊である。
2011年5月、シリンゴル盟の牧民メルゲンは炭鉱開発業者から自らの牧地を守ろうとして石炭輸送トラックにひき殺された。彼の死によって牧民と学生による大規模な抗議やデモが南モンゴル全土に広がった。
2011年10月、オルドス市ウーシン旗フフトルゴイ・ガチャーの牧民ゾリクトは、自らの牧地を油田トラックから守ろうとして、輸送トラックによって死亡した。
2013年7月、オラーンハダ市オンニュード旗の怒った牧民が自らの牧地で家畜を放牧する権利を守ろうとして禁牧隊のリーダーを殺害、他のメンバーにも重傷を負わせて、自殺した。
南モンゴルは、中国最大の石炭と天然ガス生産と世界のレアアースの95パーセントを供給しており、近年「中国のエネルギー基地」と呼ばれるようになった。巨大な神華石炭と長慶石油は多数の個人開発業者と共に富を得るために南モンゴルに殺到している。牧地は違法に占拠され、開発されている。牧民は適切な補償や移住先を与えられないまま強制的に移住させられている。
かつてない牧地のひどい破壊に対し、モンゴル人牧民は生存権と伝統的なライフスタイルを守るために立ち上がっている。ほとんど毎日のように起こる漢人との衝突で、多数の牧民が暴行され、逮捕され拘束されている。最近の事件として、先週、アルホルチン旗の牧民13人が、金開発業者による牧地の違法占拠に抗議し、逮捕・勾留されている。数日前、多数のモンゴル人牧民がオラド中旗の政府庁舎に殺到して座り込みを行った。
(原文)http://www.smhric.org/news_494.htm