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6人のモンゴル牧民が牧草地を守ろうとして100日以上拘束
SMHRIC
2013年8月17日
ニューヨーク
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牧草地の返還と勾留中の牧民たちの釈放を要求したオンニュード旗シンスム・ソム、バヤンノール・ガチャーのモンゴル牧民300人の署名(写真:SMHRIC)。アピール文の漢語原文は以下参照 |
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トルゴール、トゥクスバヤル、ジャルガルト、ナスンダライ、ムンフバヤル、オラーンバルら南モンゴル東部オンニュード旗シンスム・ソム、バヤンノール・ガチャー(翁牛特旗
新苏莫苏木
白音敖尔嘎査)の牧民6人は2013年5月下旬からずっと勾留されている。この牧民たちは、中国国営「双河林業」によって没収された自分たちの牧草地を守ろうとして逮捕されたものである。逮捕以来、家族や親戚の面会は許されていない。
逮捕された一人トルゴールの妻サランゴワーは南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)への電話インタビューで、2013年6月15日、勾留者の家族に「牧民6人は『生産・管理妨害』の罪で正式に逮捕された」と記した逮捕状が届けられたと語った。
SMHRICが勾留者の家族から入手した資料とアピール文によると、双河林業は牧民の同意を得ないで10年間もバヤンノール・ガチャーの広大な牧草地を領有しているという。
2013年4月、牧民と双河林業の間で衝突が起こった。怒った牧民たちが双河林業の設置した仮設テントを排除して牧草地を即刻返還するよう要求した。この混乱で牧民12人が殴打され入院している。牧民たちは旗政府に対して事件を公正に解決するよう要求したが、政府から一か月以上も回答がないため、約300人の牧民が抗議行動を計画していることを赤峰市政府に伝えた。この結果、オンニュード旗警察が迅速に動き、牧民たちが市政府前で抗議行動を起こさないよう妨害した。2013年5月25日に逮捕された上記6人のうち5人は初め「公共及び私有財産破壊」の罪と宣告されたが、後に当局によって「生産・管理妨害」の罪に変わった。
牧民たちの法的権利を守るため、バヤンノール・ガチャー長のトルゴールは、双河林業と牧民5人を非合法に逮捕・勾留している旗警察を訴えるため著名なモンゴル人弁護士フフボラグを雇った。
5月31日、トルゴールとフフボラグ弁護士は、シンスムのハンハオ・ソム長に旗中心部のホテルに夕食に招待された。夕食の席で、ハンハオはトルゴールとフフボラグをひどく殴っただけでなく、2人を逮捕するよう警察と公安職員に指示した。フフボラグはすぐに釈放され、公安職員によって南モンゴル東部通遼市に送り返された。フフボラグは、いかなる牧民の代理人になってはいけないと当局に命じられた。トルゴールはそれ以降、「生産・管理妨害」に関わったとして、オンニュード旗警察拘置所に勾留されたままである。
「ソム政府の職員が夕食の席で『牧民の抗議行動を組織したな』と夫の顔を2回殴ったと、フフボラグがあとで教えてくれました」とサランゴアがSHMRICに夫の逮捕について語ってくれた。「夫は、オンニュード旗人民会議代表として2年間本当に牧民たちの法的権利を守るため抗議行動したり訴えたりして彼らをサポートしてきました」と付け加えた。
「2013年6月2日、ガチャーの100人以上の牧民が旗政府に対して夫と5人の牧民の逮捕に抗議して再び出発しました。途中で、牧民たちは警官に阻まれ殴られました。牧民たちの車やバイク、携帯は没収されました。それでも、牧民たちは何とか警察の妨害を逃れ、旗政府までの24キロを歩いて移動を続け旗政府に到着し、取り囲み、家に戻りました」。
「2013年6月2~8日、予想される大規模デモを避けるため、オンニュード旗警察は数百人の警官と数十台のパトカーを動員し、ガチャーを完全に封鎖しました。デモ隊の家族たちは、7日間3人の警官によって軟禁状態でした。携帯は没収され、牧民のどんな動きもビデオで録画されました。ガチャーに出入りする人を監視するため、主な入り口にはチェックポイントが設けられました」。
現在の状況について尋ねたところ、「警察による監視は現在も厳しく続いており、いかなる抗議行動をすることも禁止されています」とサランゴワーはSMHRICに答えた。
「牧民たちは警察を恐れていません。いつでも、抗議行動を行う用意があります」とサランゴワーは語っている。「牧民たちは、オンニュード旗警察拘置所が数百人の牧民全員を勾留するのに十分に大きいかどうかまで考えていると話しているのです」。
「私は夫の健康が心配です。夫は肝臓が悪く、逮捕前、投薬治療を受けていました」とサランゴアは心の内を明かしてくれた。「夫は拘置所では治療を受けていないと思います。6人はすでに100日以上勾留されています。家族の誰も面会が許されていません。旗政府から何も言ってこないのです」とサランゴアは付け加えた。
事件の詳細について開示はしていないものの、オンニュード旗警察署は「腾讯微博」上のオフィシャル・ブログで「事件は法律にしたがって処理されています。事実関係ははっきりしており、証拠も十分です。納得できない人は誰でもしかるべき方法で意見を述べることができます。事実と矛盾する情報を広める人は誰でもその結果に対して責任を負うことになります」とアップされている。
事件についてさらに知りたい場合はサランゴワーに連絡が可能です:
0086-139-4896-9360
オンニュード旗シンスム・ソム、バヤンノール・ガチャーの牧民300人からのアピール文