南(内)モンゴル西部アラシャー・アイマグ(阿拉善盟)、エジネ・ホショー(额済纳旗)の約100人の牧民が2014年5月4日、旗庁所在地でデモ行進した。
「エジネの緑のオアシスを守れ、私たちの美しい故郷を返せ」と書いた長い横断幕を掲げて、牧民たちは甘粛省からの漢人移民を禁止し、エジネ・ホショーのオアシスの違法な破壊と収奪を止めるよう地元政府に要求した。
蘭州軍区第14空軍基地に向かって行進する牧民を武装警官が取り囲み、「それ以上進んだ場合には発砲する」と機関銃を向けた。
南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)に届いた牧民のアピール文には、地元政府は「モンゴル人の意に反して、甘粛省からの漢人移民が牧民の土地を違法に収奪するのを勝手に許可している」「すでに脆弱化しているエジネのオアシスが破壊され、私たちは悲嘆に暮れている」とある。
アピール文は、この地域のモンゴル牧民が第一ミサイル基地建設で移住を強制させられた「国防事業」のために1958年に大きな犠牲を払ったことにも言及している。
「1958年、国防事業のために何万人もの牧民が自らの牧草地を放棄して移住したことを私たちは今でもはっきりと覚えています」「それは精神的に大きなダメージとなりました」とアピール文は主張している。
牧民のアピール文は、中国当局に以下の3つの疑問を呈している。
(1)地元当局は、エジネのモンゴル人が聂荣臻元帥の主張した国防事業によって当時どれほど大きな犠牲を払ったか記憶しているのか。
(2)地元当局は、牧民が大量に故郷から移住させられたことによって引き起こされた深い精神的ダメージについて考えたことがあるのか。地元当局は甘粛省からの移民が私たちの故郷を占拠し、ポプラ林を破壊し、ヤナギを伐採し、私たちが代々暮らしてきた緑のオアシスを荒廃させるのをなぜ許しているのか。
(3)「市民と軍は水と魚のような関係」「市民は軍を愛し、軍は市民を敬う」というスローガンにより具体化された精神は一体どこへいったのか。エジネの牧民の利益は一体どこにあるというのか。
中国は、南モンゴルにおいて牧草地の没収と地下資源の採掘を急いでおり、アラシャーのかつて緑が美しかった地域が中国の鉱山開発のターゲットにされてきた。元々希少な地下水システムが枯渇し、脆弱なエコシステムが破壊された。拡張する中国鉱山と漢人移民の侵入がこの地域のモンゴルのラクダ飼いの独特な文化の存在そのものを脅かしている。
2週間前、アラシャー・ジューンホショー(左旗)で漢人による違法な鉱山事業により牧草地が大きく陥没して数人の牧民が行方不明になっている。