内モンゴル集通鉄道(グループ)LLCの漢人乗務員の郑舟は、モンゴル人に対する人種差別的なオンライン・メッセージを書き込み、南(内)モンゴルのネチズンの強い抗議を受け、2014年9月1日に解雇された。
2014年8月29日、
郑舟は「ええ、私は純粋なモンゴル人が嫌いです。彼らは獣ですから、人間の言葉が理解できません。この種は人類によって絶滅させられるべきです」と中国のSNS微信にメッセージを書き込み、そのメッセージには銃をもって「地獄へ堕ちろ」と言っている少女のアイコンが付いていた。
このメッセージに怒ったモンゴル人たちが、フェイスブック、ツイッターだけでなく、微信、騰讯および新浪マイクロブログも含む中国のソーシャルメディアにメッセージを配信し、モンゴル人全体に対する憎悪・偏見、人種差別、人間性の否定に抗議して立ち上がるよう訴えた。
「Zhoug Zihangというニックネームの郑舟は、私たちモンゴル人を公的に侮辱した。モンゴル人の一人として彼女の書き込みを見て大きなショックを受け、ここに怒りと抗議を表明するものです! 彼女は実は民族の衝突を引き起こそうとしている。血の教訓は、民族差別と人種的憎悪がテロリズムを含む重大な問題に結びつくかも知れないと私たちに告げています」と、怒ったモンゴル人ビジネスマンが電子メールのMLに書き込み、フフホト鉄道当局と連絡をとり、即刻調査するよう求めた。
「もしあなたが人種差別と民族浄化に反対するなら、以下の番号にダイヤルしてください」とそのビジネスマンは電話番号を明記した。
フフホト鉄道カスタマー苦情センター:0086-471-12306 内線1、内線9
フフホト鉄道通信・訪問オフィス:0086-471-224-2740
フフホト鉄道訓練調査委員会:0086-471-224-2379
「内モンゴル集通鉄道(グループ)LLCフフホト客室乗務員課文書(内集呼課(2014)No.173)」というタイトルの付いた2頁の公文書は以下の内容を述べている。「郑舟が、インターネット上に悪質な書き込みによってモンゴル人を中傷し、そのため社会に悪影響を及ぼし、私たちの職場を激しい公的な圧力の下に置いたこと、生産と管理の秩序をひどく乱したこと、そして、民族の調和を悪化させたこと等を考慮し、2014年9月1日の党及び政府統合拡大会議による決定にしたがい、フフホト客車乗務員課は郑舟の労働契約をここに解約する」
事件に関する調査をさらに進めるため、南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)は、フフホト鉄道カスタマー苦情センターと連絡を取った。苦情センターの職員は、事件の存在は認めたが、SMHRICに集通鉄道グループLLC広報課の電話番号(0086-471-220-9579)を教えただけで、事件の詳細について話すことは拒否した。
李と名のった広報課の職員がSMHRICの電話での問い合わせに答え、郑舟は、微信グループにメッセージをアップしたことで解雇されたことを認めた。
「ええ、彼女の名前は郑舟で、数名のモンゴルの友人の感情を傷つけるオンライン・メッセージをアップしたため、2014年9月1日に解雇されました」と李氏はSMHRICの電話インタビューに答えた。
「私たちは、この事件に対するモンゴルの友人の反応に寄り添っている」と、李氏はネット上に配信されている公文書(内集呼課(2014)No.173)と郑舟の写真が全て本物であることをSMHRICに保証した。
彼女がこのメッセージを書きこんだ本当の動機が何であったかについて、李氏は「客室でモンゴル人の同僚とちょっとした口論があり、若いために感情的になってメッセージを書きこんでしまったのです」とSMHRICに説明した。
「モンゴルの友人からの苦情を受けて、鉄道幹部が会議を開き、彼女の解雇を決定した」と李氏はその事件の本質についてコメントし、「私たちはこれを人種的憎悪や民族差別事件とは考えておらず、むしろ、未経験の若い女性によって引き起こされた個人的な失態であると考えています。私たちは、メディアがこの事件について私たちと同様の説明を報道するよう望んでいます」
その一方で、モンゴル人の怒りは、郑舟の解雇だけではそう簡単には抑えられない。ネット上での議論はまだ続いている。
「解雇だけでは十分ではありません。彼女は、テロに結びつくかも知れない民族の衝突を主張しているのです。新疆やチベットで伝えられるところでは、「テロまたは民族紛争を主張した」として人びとが処罰されているではないですか」と、「ディスタンス」というハンドルネームのモンゴル人が微信に書きこんでいる。「少なくとも省以上の行政単位によってテレビ局がこの事件と彼女に対する処分について報道すべきです」と「ディスタンス」は主張する。
「私たちモンゴル人は、漢人によって長い間差別されてきました。これは個人的な問題ではなく、人種問題です。たとえ一人の漢人を処罰しても、これが個人的な感情ではなく漢人全体のイデオロギーの一部であるので、何千という漢人が次々に出てくるでしょう」と、モンゴル人のボルジギン女史がメールでコメントした。
公文書「内モンゴル集通鉄道(グループ)LLC、
フフホト客室乗務員課文書(内集呼課(2014)No.173)」