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モンゴル・レター

No.37　2004/10/9（不定期発行）

 

ガザリン・ウス（髪菜）の不法採集で2700人をアラシャー草原から排除

 

内モンゴルのアラシャー・アイマグ（阿拉善盟）当局は、ガザリン・ウス（漢語で「髪菜」）の不法採集者がアラシャー草原に継続的になだれ込むのを阻止する動きを強化している。本日、アラシャー・ズーン・ホショー（阿拉善左旗）草原管理局、同ホショー・バローンベル（巴潤別立）鎮総局、アラシャー森林管理局管理官ら300人以上が動員され、2700人を超える不法侵入者を退去させ、2000以上の採集現場を突き止め、400キロ以上のガザリン・ウスを焼却処分した。

8月18日、アラシャー・ズーン・ホショーおよびバローンベル鎮の境界付近で記者が目撃したところでは、比較的平坦な草原地帯で、専用の熊手を用い、20人以上がガザリン・ウスを採集していた。不法侵入者らは、管理官を見つけると、四方八方に逃走した。侵入者を追跡して逮捕して一カ所に集め、道具とガザリン・ウスを没収した。管理官の尋問により、不法侵入者らが寧夏回族自治区固原県出身の農民であり、農閑期にガザリン・ウスを売って副収入を得ようとしていたことが判明した。現場には、農民らが建てた簡易テントが10張ほど残され、穀物や油、じゃがいもなど食料や日用品が山積みしてあった。また、農民らは薪として大量の多年生植物（モンゴル・ヤナギ）を根こそぎ引き抜いていた。その結果、草原の表土が風に飛ばされ、極めて繊細な草原のエコ・システムがいっそう破壊されている。その付近には、移住させられた牧民が残していった土製の固定家屋があり、その部屋は農民らに占有されていた。極端な例ではあるが、一部屋に40人も暮らしている場合もある。管理官によれば、農民たちは出身地の役場により組織されて入って来たという。食料や日用品から判断すれば、この地で少なくとも半月は暮らしている。また、別の土の家屋では、10人ほどの農民が休日に家族が再会するような雰囲気で、のんびりと楽しげに団子汁を作っていた。

　管理官は、農民たちの道具とガザリン・ウスを没収し、退去するよう勧告した。午後3時、管理官の熱心で忍耐強い説得の末、150人ほどの不法採集者らがしぶしぶ草原を退去した。　（新華社電2004年8月22日付、ＳＭＨＲＩＣによる英訳からの重訳）

 

[編集後記]

ガザリン・ウスgazariin u’s（学名：Nematonostoc flagelliforme）は、モンゴル国ではドルノゴビ・アイマグ（県）のエルデン、オラーンオール、スフバートル・アイマグのオンゴン、エルデンツァガーン、ウムヌゴビ・アイマグのゴルワンテスの各ソム（郡）の一部に自生する。砂漠、半砂漠のカルシウム分が豊富な泥湿地に自生し、山地の岩場にも生える。モンゴル以外では、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中央アジアにも分布するが、全体的としての統計はない。食用、薬用目的で採集し輸出が始まってから急激に稀少となり、絶滅の危機に瀕している可能性がある。モンゴル国では、1995年「稀少植物」に指定し、使用禁止となった（モンゴル国環境省1997『MONGOLIAN REDBOOK』ウランバートル）。漢語名の「髪菜」の発音[facai]が「発財」（金を儲ける、金持ちになる）と同じため、特に縁起物として重宝されるという。

 

 [編集・発行] SMHRIC＠OSAKA

  

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