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UNDP移動性先住民族世界連盟(WAMIP)に
おける南モンゴル人権情報センター代表演説
2006年5月22日
ご出席の皆さま!
私はトゴチョグ・エンフバトと申します。内モンゴルの先住民族であるモンゴル人500万人を代表してこの会議に出席しています。この会議に出席し、内モンゴルでいま何が起こっているかについて皆さんにお話しできることを光栄に思います。
モンゴル民族はアジアの典型的な移動性先住民族として、数千年間にわたり内モンゴルで遊牧をして暮らしてきました。ところが、1947年中国共産党が内モンゴルを支配した結果、劇的な変化が起こります。中国に支配されてからのこの60年間、当局の強権的政策のため、内モンゴルのモンゴル人は伝統的な生活様式を放棄して祖先の地を離れることを強いられています。
まず第一に、「草原の生態系を回復する」「牧民の生活水準を向上させる」というスローガンの下、モンゴル人牧民をその故地から追い立てています。第一期5年間に65万人の牧民を対象とする法律が、2001年、内モンゴル政府により承認され施行されました。この法律は最終的に専業および兼業牧民に多大な影響を及ぼすでしょう。モンゴル人牧民との合議もなしで草案、承認され、施行された法律下、モンゴル人が自らの地で家畜を自由に放牧することが不法行為とされています。当局はこの政策を正当化し、モンゴル人牧民の「後進的、未開、低生産性」である伝統的な生活様式が、内モンゴルの環境を悪化した根本的原因であると言っています。近年、「過放牧」という用語が中国国営メディアによってよく使われています。その一方で、漢人農民1200万人(モンゴル人牧民はほんの250万人にすぎません)が、毎年春になると内モンゴルのやせ細った土地を掘り起こしているにもかかわらず、中国当局の辞書には「過耕作」という用語はないのです。
第二に、モンゴル人を追い立て、急激に都市化を進めています。「地方コミュニティーの都市化、産業化を促進する」という名目で、何千人もの牧民が立ち退かされ、漢人が圧倒的多数を占めるフフホト(呼和浩特)やシリンホト(錫林浩特)のような大都市や「移民新村」と呼ばれる新しい都市への移住を強制されています。牧民たちは、都会で生活するために必要な専門技術や安定した収入がなく、漢人が優位な社会でいっそう疎外されています。フフホトからの報道によれば、最近、中国当局は、移住させられた牧民にとって唯一の生産手段になっていた小さな会社を強制的に倒産させたそうです。また、シリンゴル・アイマグ(盟)・フブートシャル・ホショー(旗)の40余りの世帯が、フフホト郊外にある工場廃屋に移住させられました。この牧民たちは生活手段がまったくなかったため帰郷の許可を当局に求めましたが、却下されました。
第三に、モンゴルの言語および教育の排除という問題があります。モンゴル語とモンゴル人学校を廃絶するため、内モンゴルでは中国当局により文化の同化政策が継続的に実施されています。これらの政策は、モンゴル人コミュニティーが「広大な土地に散らばって存在しているため、政府が地方の教育レベルを向上させることが困難である」という理由で正当化されているのです。中国当局は、この問題を解決するにはモンゴル人学校の統廃合しかないと主張しています。地方のモンゴル人コミュニティーからの訴えによれば、この政策下では、ガチャー(ソムの下の行政単位)レベルのモンゴル人小学校はほとんど廃校になり、ソム(蘇木、ホショーの下の行政単位)レベルのほとんどのモンゴル人中学校は、漢語で授業をおこなう学校へ併合されてしまいます。したがって、モンゴル人児童は漢語を勉強する以外になくなるのです。
ご出席の皆さま、私がここで言及したことは氷山の一角にすぎません。内モンゴルには、人権問題が山積しています。さらに詳しく知りたい方は、私たちのサイトwww.smhric.orgをご覧下さい。
ご静聴ありがとうございました。
トゴチョク・エンフバト
南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)
45-25 39th
PL 2E
Sunnyside, NY
11104
U.S.A.
Tel:001-718-786-9236
e-mail:enhebatu@smhric.org
URL:www.smhric.org
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