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  二人の南モンゴル亡命者がモンゴル国から中国へ強制送還
   
SMHRIC
2014年5月16日
ニューヨーク
翻訳:メルゲンデルゲル
 
 
 
   

ダライバータル=ドプチン

 

トルゴール=ノロブリンチェン

 
 2014年5月13日、モンゴルに亡命していた南モンゴル難民、ダライバータル=ドプチンとトルゴール=ノロブリンチェンの2人が、列車で中国に強制送還された。今回の国外追放の理由について、モンゴル政府は何の説明もしていない。なお、ダライバータルの学生ビザの有効期限は2014年7月1日まで残っており、トルゴールは国連難民高等弁務官が発行した「難民認定申請中の証明書」(有効期限は2014年6月16日)を所持していた。

 2014年5月14日の午前9時頃(北京時間)、南モンゴル人権情報センターがトルゴールの携帯電話に掛けたところ、2人を連行したと見られるモンゴル語を話す正体不明の男が電話を受けた。少しの間だけダライバータルと話すことができたが、すぐに「これ以上話すな」という声とともに回線を切られた。以後、同じ番号に掛けても繋がらなくなった。ダライバータルによると、すでに2人は中国側に入ったことを確認している。

 モンゴルの首都ウランバートルにいる関係者からの情報によると、ダライバータルとトルゴールは、同じく南モンゴル難民であるアルハー=ノロブツェレンの中国への強制送還中止を呼びかけるために記者会見を準備していたが、その矢先の5月9日にモンゴルの警察に拘束されたという。

 5月14日の午前8時30分頃(現地時間)、トルゴールの妻でモンゴル国籍のバトザヤー=ダシドンドクは、南モンゴル人権情報センターとの電話の中で次のように語った。「私は夫に会うために中国との国境の町に来ましたが、夫とダライバータルさんは昨日すでに列車でエレーンホト(国境の中国側の町)に移送されていました。今のところ、彼らの状況について、他の情報はありません。ここで話すのは少し都合が悪いです。」バトザヤーは、ザミンウード(国境のモンゴル側の町)の税関を通過するのを待たされているところだった。

 ダライバータル=ドプチン(中国のパスポートではDA LAI BA TE ERと表記)は、1983年生まれ、オルドスのオトク旗出身。2005年よりフフホトのデドマー音楽学院で学び、2007年にモンゴル国に留学。2011年にモンゴル舞踊音楽大学を卒業。2013年にモンゴル国立大学で芸術科を修了し、同校で博士号取得を目指してミュージカルの研究をしていた。

 トルゴール=ノロブリンチェン(中国のパスポートではTU LA GU ERと表記)は、1984年生まれ、オルドス出身。歌劇団に所属して活動後、2007年にモンゴルに渡り、モンゴル国立大学芸術文化科とモンゴルジンゴー学院で学んだ。2012年にモンゴル国籍のバトザヤーと結婚した。

 2014年3月4日、トルゴールは、モンゴル移民局から10日以内にモンゴルから退去せよとの通知を受けた。退去しない場合は、中国に強制送還されることになる。彼は直ちにウランバートルの国連難民高等弁務官事務所に赴いて難民認定申請を行い、「難民認定申請中の証明書」を受け取った。これは彼の申請の結果が出るまでの間、彼の身分を保証するものである。

 インターネット上の情報によると、ダライバータルとトルゴールは、モンゴルで、南モンゴルにおける人権と伝統文化を守るための活動に積極的に関わってきたことが分かる。

 今回の一件は、2009年10月に、バトザンガーとその家族がモンゴルから中国に強制送還された件に続く大きな事件である。バトザンガーは現在、南モンゴル東部のオラーンハダ市(中国名「赤峰市」)にある内モンゴル第4刑務所に収監されている。ここはハダを含む多くのモンゴル人政治犯が収容されてきた場所である。

 2012年5月、やはり南モンゴル難民で歴史家のロルマージド=ツェンゲルが、「モンゴル政府を転覆するクーデターの謀議をした」との容疑でモンゴル当局に逮捕され、投獄された。

 アルハー=ノロブツェレンの強制送還については、彼がエルベクドルジ大統領に対して「中国に強制送還されるくらいなら焼身抗議する」と訴える書簡を公開した後、モンゴル政府の手続が先延ばしになっており未確定である。

 モンゴルの著名な人権活動家でジャーナリストのムンフバヤル=チョローンドルジは、「今や独立国モンゴルが、南モンゴル人の人権を侵害する極めて数少ない国家の一つになってしまった」と、2年前のウランバートルで開かれた記者会見に続き、先月東京で行われたシンポジウムでも述べている。

 南モンゴル自由運動のリーダーとして長い間ドイツで人権擁護活動をしてきたショプチョード=テムチルトは、昨日、南モンゴル人権情報センターのインタビューに応じて次のように述べた。「モンゴル政府と中国政府の間で、新しい取り決めがなされたに違いない。中国の独裁政権に反対する南モンゴル人にとって、もはや独立国モンゴルの中に居場所はない。今回の件は、そのことを南モンゴルの自由の闘士たちに伝える明確なシグナルだ。」

 世界の南モンゴル人社会は、独立した民主国家であるはずのモンゴルが、中国の独裁政権と蜜月関係にあり、南モンゴルからの難民に対して酷い人権侵害を行っていることに困惑している。

 同時に、失敗を繰り返して南モンゴル人の難民認定申請者たちを守れないウランバートルの国連難民高等弁務官事務所に対して、強い非難の声が上がっている。南モンゴル人社会は、他もいる南モンゴルからの難民認定申請者たちの安全を心配し、彼らがモンゴル政府から今回と同じような迫害を受ける事態に直面するのではないかと深く憂慮している。

 

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