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誰のための植林か、問われる本質問題

 

中国内モンゴル自治区で砂漠化防止植林を行う日本のボランティア団体は15とも、20とも言われている。これらの団体は1990年代初頭から本格的な活動を開始し、その活動範囲は内モンゴル砂地全域をカバーしている。その中、主力的な日本の海外ボランティア団体も数多く存在する。これらの団体の規模や特色は様々であるが、多様性こそがNGONPOの特長でもある。近年それぞれの植林活動の成果が公表され、砂漠化防止の一歩を踏み出した。砂漠化防止策においては、また試みの段階であるが、今までの活動で蓄積した成果は中国の砂漠化防止国家政策に大きな刺激を与えていることも確かである。

しかし、これらの団体の殆どは官民の助成機関から補助金を受けて活動していると言う点で共通している。植林地における団体の活動資金はほとんどが助成機関の資金提供によるものである。確かに、一定の会員数を保持し会費収入が多いところもある。しかし、それでも補助金がないとその多くの団体は自立した活動を出来ないのが現状である。植林団体にとっては、現地における活動を継続的に行うためにいかに補助金を確保するかは大きな課題なのである。

助成機関としては、いち早く結果が出て、注目される事業に補助金を出しやすい。助成前と助成後の著しい変化、成果は審査官の目を引き、継続事業になりやすい。しかし、いつの間にか変化=成果という方程式が成り立ってしまうことも度々ある。これにより、助成先への配慮の度合いが増すに連れ、現地への配慮が追いつかないという現象が生じてくる。何のための植林か、誰のための植林であるべきか、という本質的な問題があやふやになってしっている。

現地住民は日本からの「緑の使者」を歓迎し、大きな期待を抱いている。しかし、牧草地が植林地化される現状への懐疑も隠せない。地下水が比較的豊富な牧草地での植林は、活着がよいため補助金の報告書は書きやすい。また、植林団体の誤解も少なからずある。牧民の家畜が植林地に入り込むことが植林事業実施の障害となるとしたり、強く「禁牧」(家畜の放牧を禁止し、宿舎飼育を奨励する)を訴える団体さえある。植林地の活着率を優先する植林団体と、自分の生活の糧でもある牧草地が植林地化されることに戸惑う牧民の間では砂漠化防への認識や思い入れに違いがある。昨年から内モンゴル自治区では広範にわたる放牧地の「禁牧」の政策が実施された。しかし、従来種のモンゴル五畜は宿舎飼育に適さず、牧民は家畜を手離すことを強制された。牧畜地域における家畜の激減に伴い、牧民はさらに貧困へと追いやられているのが現状だ。

内モンゴル草原の生態系はその地域によって大きく異なる。また、砂漠化の過程も多様である。灌木が多くあった牧草地のところもあれば、木が全くなかった牧草地も少なくない。歴史的に形成された砂地の砂漠化防止植林に、該当地域の自然の歴史を調査し研究することを強く薦めたい。砂漠化防止に喬木の植林は確実で早いが、従来の植物多様性の回復に灌木、牧草の回復も欠かせない。また、本来喬木がなかったところでのポプラの植林は地下水位低下、植物多様性の回復が困難になる。砂漠化防止植林は牧草回復、灌木植林を視野に入れた多様性をもつ事業として進められることが急がれている。同時に、現地住民を砂漠化防止植林の主力に導き、主役と位置づけ、現地住民本位の植林(植草、植灌木)がなされるべきである。

筆者:ボリジギンセルゲレン(BORJIGIN Sergelen)、1971年中国内モンゴルホルチン生まれ、1994年内モンゴル師範大学卒業、来日。現東京大学大学院法学政治学研究科博士一年生、政治専攻。2000年5月、内モンゴル沙漠化防止植林の会(NGO)を設立、代表を務める。

http://www2.neweb.ne.jp/wd/sergelen/desert.html )中国内モンゴルホルチン

砂地において、「ヒト動植物共存モデル」地域作りに取り組んでいる。

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B.Sergelen  (東京大学大学院法学政治学研究科)

携帯090-1256-8236 Mail:jj89517@j.u-tokyo.ac.jp

 

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