Southern Mongolian Human Rights Information CenterSouthern Mongolian Human Rights Information Center
HomeAbout UsCampaignsSouthern Mongolian WatchChineseJapaneseNewsLInksContact Us

 

< 戻る >

 モンゴル・レター  

No.35 2003/12/3 (不定期発行)

 

2つのアイマク()が内モンゴルから姿を消した

 

 新華社電によると「後進地域の迅速な都市化」というスローガンの下、バヤンノール(巴彦悼爾)とオラーンチャブ(烏蘭察布)の2アイマク(盟)の「市」(モンゴル語では「ホト」)への改編を中国国務院が正式に承認した。

 内モンゴルには歴史的に9アイマクあり、アイマクはいくつかのホショー(旗)で構成される。アイマクとホショーに基づく伝統的な行政システム(漢人移民を制限していた)は、内モンゴルの自治のメカニズムとして数世紀にわたって維持され、中国共産党による占領後もモンゴル・アイデンティティの象徴的な意味において重要な役割をになってきた。しかしながら、1980年代以降、移民と同化を加速し正当化するため、中国政府はアイマクを市に改編し始めた。内モンゴル東部のジョーオダ(昭烏達)・アイマクは最も伝統的なアイマクのひとつだったが、現地住民との協議も全くないまま1983年「赤峰市」に改編された。この後、当局は多くのホショーを「県」に改編した。内モンゴル9アイマク中もっとも多くのモンゴル人口をかかえるジリム(哲里木)・アイマクは、中央政府の命令により、現地のモンゴル人の強い反対を無視する形で1999年「通遼市」に改編された。チンギス・ハーン廟の存在により最も神聖で典型的なアイマクで、漢民族政権に反旗を翻した歴史をもつイヒジョー(伊克昭)・アイマクは2001年「鄂爾多斯(オルドス)市」に改編された。中央政府は内モンゴルの東北に位置し、モンゴル民族発祥の地と伝えられるフルンボイル(呼倫貝爾)・アイマクの市への改編を20024月正式に発表した。

 バヤンノール、オラーンチャブ2つを含め、9つのアイマクのうち6つが近隣地域からの無学な農民および沿海地域からの無節操な商人などを含む漢民族による「都市化と近代化」が急速に進むと予想される市に改編された。現存するシリンゴル(錫林郭勒)、アラシャン(阿拉善)、ヒャンガン(興安)3つのアイマクではすでに伝統的な遊牧が禁止され、「都市化と近代化」の次のターゲットであることは疑いないと多くのモンゴル人は確信している。内モンゴル自治区が省に改編され、マイノリティとしてのモンゴル人の権利が中央政府に奪われる事態になることが懸念される。(2003.12.17SMHRICニュースより)

 

 [編集後記]

 モンゴル国とも呼称が共通する行政単位アイマクがあと何年くらいで内モンゴルから姿を消すことになるのだろうか。アイマクから市への改編は、内モンゴルの主人公であるはずのモンゴル人にとっていかなる変化をもたらすものであるのだろうか。これまで中国政府がモンゴルやチベット、ウイグルなどマイノリティに対して行ってきた政策を考えれば、政府系新聞の記事にあるように「政治、経済、社会が発展して一定レベルに達した結果である」などと単純に喜べるわけもない。ジョーオダ・アイマクが消えてからすでに20年が経過している。この改編によってモンゴル人の暮らしが具体的にどう変化するのか、モンゴル人にとって実際にどんなデメリットがあるのか、知ることはできるはずであろう。伝統的なアイマクが消失してゆくと感情的になるだけでなく、具体的に何が変わるのかまず事実を知る必要がある。

 

 [編集・発行] SMHRICOSAKA

 

< 戻る >

 
From Yeke-juu League to Ordos Municipality: settler colonialism and alter/native urbanization in Inner Mongolia

Close to Eden (Urga): France, Soviet Union, directed by Nikita Mikhilkov

Beyond Great WallsBeyond Great Walls: Environment, Identity, and Development on the Chinese Grasslands of Inner Mongolia

The Mongols at China's EdgeThe Mongols at China's Edge: History and the Politics of National Unity

China's Pastoral RegionChina's Pastoral Region: Sheep and Wool, Minority Nationalities, Rangeland Degradation and Sustainable Development

Changing Inner MongoliaChanging Inner Mongolia: Pastoral Mongolian Society and the Chinese State (Oxford Studies in Social and Cultural Anthropology)

Grasslands and Grassland Science in Northern ChinaGrasslands and Grassland Science in Northern China: A Report of the Committee on Scholarly Communication With the People's Republic of China

The Ordos Plateau of ChinaThe Ordos Plateau of China: An Endangered Environment (Unu Studies on Critical Environmental Regions)
 ©2002 SMHRIC. All rights reserved. Home | About Us | Campaigns | Southern Mongolian Watch | News | Links | Contact Us