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モンゴル・レター

No.38　2004/10/10（不定期発行）

 

内モンゴルで服役中のハダが健康を悪化させている

 

　ハダの妻シンナが、内モンゴル東部オラーンハダ（赤峰）市にある内モンゴル第四刑務所にいる夫を最近訪ね、刑務所の生活環境の悪化、当局による非人道的処遇、ハダの健康状態などを電話インタビューで報告した。

　ハダは南モンゴル民主連盟（SMDA）代表で、同連盟は、中国の憲法で保証されているモンゴル人のための高度自治を要求する平和的組織である。1995年12月、当局は南モンゴル民主連盟を「分離活動を行なう」非合法組織と告発し、70名以上のメンバーおよびデモ参加者とともにハダを逮捕した。1996年12月、ハダは「国家分離とスパイ活動」罪で15年の禁固刑の判決を受けた。ハダは現在オラーンハダ市の内モンゴル第四刑務所で服役中である。ハダの妻シンナと息子ウイルスは、警察の脅威を常に受けており、面会権も制限されている。

「今回は今年最後の面会になるでしょう。当局は私たちの訪問をいつも邪魔する口実を見つけ、服役囚の家族は月2回面会できることが法律で認められているにもかかわらず、厳しく制限しているからです」とシンナは語った。また、シンナは「夫とはほんの30分しか面会を許されません」とも語った。この短時間の面会中も看守らは近くで監視し、会話と行動の全部を録画している。シンナがハダに持参した食物、衣類、薬品、書籍などは全て刑務所の入り口で当局に没収された。また、シンナは「ハダは読書したり、テレビやラジオを見たり聞いたりすることも許されていないのです。電話もインターネットも手紙も許されていません」とも報告している。

　ハダは毎日10時間以上の労働を科され、夜は狭く湿気のある部屋で12人の服役囚らと寝ていると、シンナは私たちに語った。看守らは、同部屋の服役囚らにハダを殴りつけるように命令している。シンナによれば、食事がひどいため、深刻な状況のハダの胃はいっそう悪化している。ハダは食後いつもおう吐しているという。シンナは、適切な医療サービスを何度も要求しているが、当局はこの要求に全く答えない。ハダは刑期を終えるまでさらに7年間服役しなければならない。シンナは、夫がこの刑務所の状況に耐えられるかどうか本当に心配していると語った（敬称略）。

（Southern Mongolian Human Rights Information Center, October 2,2004, NY City）

 

 [編集後記]

ハダ氏の消息がしばらく途絶えていたので、貴重な報告である。国境外のモンゴル民族と共闘して独立を勝ち得たモンゴル国とは対照的に中国に取り残された内モンゴルのモンゴル人のために積極的に活動していたハダ氏は、市場経済化が加速しつつあった1990年代半ばに逮捕され、中国の禁固刑としては最も長期間の判決を受けた。2008年のオリンピックを控え、ますます市場経済化を加速させる中国に居住するモンゴル人を取り巻く環境も劇的に変化している。遊牧文明を担ってきたモンゴル人がモンゴル人らしく生きることがますます困難になりつつある内モンゴルのモンゴル人たちの近未来はどうなるのだろうか。

 

 [編集・発行] SMHRIC＠OSAKA

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